京都・清水焼『第21回 日本の職人展』/ Kiyomizu Ceramics, Kyoto "The 21st Exhibition of Japanese Artisans"
■今回の展示会では、京都・清水焼、青磁・白磁を制作する窯元・紅村窯(こうそんがま)さんの四代目・林侑子さんが、土(ツチ)ハサミを使った、とても細かい技巧で陶芸粘土への切り込みデザインの作業を実演している姿に出逢いました。まさに、練り切りと言う和菓子がありますが、練り切り(白)あんを主原料とする生菓子で、華やかな見た目としっとりとした口当たり、上品な甘さが特徴で古来より御持てなしの場への上生菓子です。林さんは、和菓子作りをするように、陶芸粘土を、柔らかい、あんに見立てるように、ハサミで切り込みを入れていました。
林さんは、私が熱心に作品を観ていたら、笑顔でご親切に話しかけて下さったので、色々と質問をさせて頂きました。他では見かけない陶芸粘土を、和菓子作りのように、丁寧にハサミで花の形を彫り、細かい練り切り作業に興味を持ちました。伝統の陶器の風合いや、使い勝手や機能性も受け継ぎながら、新しい世代の感性や技法を取り入れ、伝統的な焼きものの造形を、装飾で新鮮さを際立たされています。この練り切りの手法は、和菓子作りをされていたのかと尋ねましたが、実際習われたことはなく、独学でご自身のやり方・技法を確立された上で、御縁ある和菓子職人の方にご助言を頂いたそうです。
また、ご自身の窯元で、初の女性後継者かつ、陶芸家であるので、大小様々な陶器や、家庭で使い易い器に、白を基調とした陶磁器に、練り切りのデザインと、パステルカラーの、ピンク、グリーン、イェローやブルーを施されているのが特徴です。殊に、女性の作り手としての感性で意匠を凝らしながら、女性の方々を意識して、親しみ易いように、柔らかい雰囲気や軽さを、作品に演出していかれたいとの思いをお持ちだとのことです。
他には、京都の地縁を生かされて、珍しい共創の取組みとして、林さんの作品デザインをモチーフとした、着物の帯柄とのコラボレーションは画期的だと思いました。 帯シリーズの名前は、紅村(こうそん)帯と呼ばれているそうで、今後も、林さんの奥行ある図案が、どのように日本の伝統的な帯の織物で、立体感や雰囲気が表現されているのかも、楽しみに観ていきたいです。
■100年以上の歴史を持つ 紅村窯さんについて
林 侑子さんがメッセージを発信されているので、ご紹介いたします。
同時に、紅村窯(こうそんがま)ホームページとInstagramも下記に記しておきます。
「長い歴史を持つ清水焼の伝統の中で、紅村窯は100年以上続く窯元です。初代は林 永次郎 大正4年(1915年)岐阜県より清水寺の参道茶わん坂へ移り住み青磁を主として貿易関係など戦前大きく事業を行いました。永次郎の次男である林 円山(えんざん)(明治39年(1906年)生まれ)も家業を手伝いながら制作を始めました。戦後に円山から紅村と改名、現在の紅村窯を代表する白磁、青磁を開発を進めました。円山の次男である 紅村(当代、林克行)がその技術を継承しさらに追求していくことで現在の紅村窯独自のシンプルな作品へと発展していきます。
四代目となる1人娘の林侑子とともに三代にわたって培われた伝統技法と格調を研磨しつつ、その美しさの中に新しい息吹を盛り込んだ作品を制作。
次代を継ぐ林侑子は2016年よりハサミを使った独自の装飾を生み出し
土鋏(つちばさみ)と名付け新しい伝統の道を切り開き紅村窯の新しい伝統と
なる作品を制作しております。
・紅村窯の西施白磁(せいしはくじ)と名付けられた白磁は、中国の古窯で作られた白高麗(白磁)から発展したなめらかな乳白色が特徴。
・ロクロ成形が大変困難な独自の調合の土は、西施白磁制作技術を誇る洗練された形と、東洋美人の肌を連想する白玉の様な乳白色で、釉調と相まってまさしく中国の代表的な美女西施の命名がふさわしい白磁。
・また、青磁も中国の宋時代、豊穣な成熟を示した青磁を古来の製法を躇襲しながら林 円山が改良を重ね深い色味を追求しました。優雅で独自の深く柔らかい色調を持つ紅村窯独自の発色の青磁となります。
紅村窯 林 侑子 」
株式会社 紅村窯 (こうそんがま)
https://www.instagram.com/yuko_koson /
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■Kiyomizu Ceramics, Kyoto "The 21st Exhibition of Japanese Artisans"
■In this exhibition, Ms.Yuko Hayashi, the 4th generation owner of Koson, a kiln that produces Kiyomizu Ceramics, celadon and white porcelain in Kyoto, will use scissors to cut into the ceramic clay with a very fine technique. There is indeed a Japanese confectionery called “nerikiri”, which is made from nerikiri (white) bean paste. It's fresh sweets. Ms. Hayashi used a pair of scissors to make cuts in the pottery clay, likening it to soft bean paste, just like making Japanese sweets.
Ms. Hayashi kindly talked to me with a smile while I was watching the work with enthusiasm, so I asked her some questions. I was interested in the fine kneading work, carefully carving flower shapes with scissors as if Imitating pottery clay like in Japanese sweets, which is not seen anywhere else. While inheriting the texture, usages, and functionality of traditional pottery, it incorporates the sensibility and techniques of a new generation by emphasizing the freshness of traditional pottery shapes and decorations.
I asked her if she used to make Japanese sweets, but she had never actually learned how to make nerikiri.
In addition, since she is the first female successor and ceramist at her own pottery, she has created pottery of various sizes, easy-to-use tableware for home use, white-based ceramics, nerikiri designs, and pastel colors including pink, green, yellow and blue. In particular, as a female artist, she told me that she would like to create works with a soft atmosphere and lightness that are easy to get close to, while being conscious of women while elaborately designing.
Moreover, I considered it was epoch-making to collaborate with a kimono obi (belt) pattern using Ms. Hayashi's work design as a motif, as an occasional co-creation initiative that makes use of the local ties of Kyoto. The name of the obi series is called “Koson obi”. In the future, I will continue to explore how Ms. Hayashi's deep designs are used in traditional Japanese obi fabrics to create a three-dimensional effect and ambience. The Koson Klin’s homepage and Instagram are also listed above.